「参考書1冊を極める」 vs 「複数の教材を併用」どちらが正しい?

受験勉強を始めると必ずぶつかるのが、「参考書は1冊を完璧にすべきか」「複数を併用すべきか」という悩み。
SNSや予備校講師の間でも意見が分かれるテーマですが、結論から言えば、「どちらが正しいか」は人によって異なるのです。
大切なのは、「自分の学習段階と目的」に応じて使い分けること。
この記事では、それぞれのメリット・デメリットを整理し、あなたに合った参考書活用スタイルを見つける方法を紹介します。

1. 「1冊を極める」派の主張とメリット

まずは、「1冊を完璧に仕上げる」勉強法から見ていきましょう。
この方法は、基礎固めやインプット中心の時期に特に効果を発揮します。

■ メリット①:知識が定着しやすい

同じ教材を繰り返すことで、内容が自然に頭に染み込みます。
ページのレイアウトや問題の位置まで記憶されるため、「情報の再現性」が高くなるのが特徴です。

■ メリット②:迷いが減り、勉強が安定する

参考書を1冊に絞ると、「次は何をすればいいか」と迷う時間が減ります。
勉強が習慣化しやすくなり、継続力が上がる点も大きな利点です。

■ メリット③:復習サイクルを作りやすい

教材が1冊なら、復習の計画を立てやすく、短期間で何周も回すことが可能です。
エビングハウスの忘却曲線に基づく「反復学習」にも最適なスタイルです。

■ こんな人におすすめ

  • 勉強習慣がまだ定着していない人
  • 基礎を徹底的に固めたい人
  • 教材選びで迷いやすい人
  • 「量より質」で勝負したいタイプ

2. 「複数教材を併用」派の主張とメリット

一方、「複数の参考書を併用する」スタイルは、応用力を鍛える中〜上級者向けの方法です。
視点の違う教材を組み合わせることで、理解の幅が広がります。

■ メリット①:多角的な理解ができる

同じ内容でも、著者や出版社によって説明の仕方が異なります。
複数教材を比べることで、「なぜそうなるのか」を深く理解できるようになります。

■ メリット②:出題パターンへの対応力が上がる

異なる問題集を使うことで、さまざまな設問形式や表現に慣れることができます。
特に共通テストや難関大の独自問題に対応するには、多様な演習経験が欠かせません。

■ メリット③:弱点補強がしやすい

1冊で理解できなかった部分を、別の教材で補うことができます。
「この本は解説がわかりにくい」「別の視点で確認したい」というときに有効です。

■ こんな人におすすめ

  • 基礎がすでに固まっている中級者以上
  • 難関大学を目指している人
  • さまざまな出題形式に慣れたい人
  • 理解を深めるために他の説明も見たい人

3. それぞれのデメリットと注意点

■ 「1冊だけ」学習の落とし穴

  • 1冊に頼りすぎると、出題傾向に偏りが出る
  • 問題パターンが限られるため、本番対応力が不足しやすい
  • 完璧主義になり、1冊に時間をかけすぎる危険がある

■ 「複数併用」学習の落とし穴

  • 教材選びに時間を取られ、肝心の勉強が進まない
  • 似た内容を繰り返し学び、効率が落ちる
  • どこまで進めたか分からなくなり、復習が曖昧になる

どちらの方法にも「やり方次第で成果が変わる」リスクがあります。
重要なのは、自分の段階・目的・性格を踏まえてバランスを取ることです。

4. 学習段階別・おすすめの使い分け

■ 初級者(偏差値50未満)

まずは1冊に集中。基礎を完璧にしてからステップアップ。
教材は「解説が丁寧」「例題が豊富」なものを選びましょう。

■ 中級者(偏差値50〜65)

基礎教材を1冊維持しつつ、演習問題集や別視点の教材を追加。
たとえば「基本書+問題演習」「文法書+読解問題集」といった組み合わせがおすすめです。

■ 上級者(偏差値65以上)

複数の教材を併用し、問題の“出され方”や“表現の違い”に慣れる。
特に難関校では、他校の過去問や模試問題を活用して応用力を鍛えましょう。

5. 効率を最大化する参考書運用法

■ ① 「1冊を極める」と決めたら、3周以上回す

  • 1周目:理解重視
  • 2周目:スピード重視
  • 3周目:暗記・定着確認

1冊を“使い込む”ほど、得点力が上がります。
ページの隅に自分のミスや補足メモを残すと、次回の復習効率も向上します。

■ ② 「複数使う」ときは“役割分担”を明確に

教材が増えても、「どれがメインで、どれが補助か」を明確に決めましょう。

  • メイン教材:基礎理解・土台作り用
  • サブ教材:弱点補強・問題演習用
  • 発展教材:応用・実践練習用

ポイント: 教材が多くても、「使う目的」が明確であれば混乱しません。

■ ③ 定期的に「使っていない教材」を整理する

本棚に教材が増えると、安心感よりも焦燥感を生みます。
「今の自分に必要な教材だけを残す」ことで、集中力が高まり、勉強のリズムも安定します。

6. 教材選びで失敗しないためのチェックリスト

  • [ ] 自分のレベルに合った教材を選んでいる
  • [ ] 1冊ごとの目的と役割が明確
  • [ ] 複数教材を使う場合、重複を避けている
  • [ ] 定期的に教材の見直しをしている
  • [ ] 「量」よりも「質」を意識して勉強している
  • [ ] 復習サイクルを計画的に回している

まとめ

「1冊を極める」「複数を併用する」――どちらも正しい方法です。
大切なのは、自分の学力段階と目的を明確にし、最も効率よく伸びるスタイルを選ぶこと
1冊を極めることで基礎を固め、複数教材で応用力を磨く――この流れを意識すれば、どんな教材構成でも合格への道は開けます。
迷ったらまずは1冊を極めるところから始め、必要に応じて教材を“足す”戦略を取りましょう。

著者
元塾講師×学習戦略ライター
まなび屋レイ

元大手塾講師。教育メディアの記事執筆・監修を通して、最新の学習理論や教育トレンドを分析。現在は独立し、受験生や保護者に向けて「正しい努力の方法」をわかりやすく解説するブログを運営。

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